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うたあわせプロジェクト vol.17 第65首 相模 【後拾遺集】

こんにちは、おもいびとの“やよい”です。

vol.16は失恋で涙に暗れる女性の歌を紹介します。


第65首 相模(さがみ)生没年未詳【後拾遺集】


『恨みわび ほさぬ袖だに あるものを 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ』




歌の解説

恨んで恨む気力もなくなり、泣き続けて涙を乾かすひまもない着物の袖さえ(朽ちてぼろぼろになるのが)惜しいのに、さらにこの恋のおかげで悪い噂を立てられ、朽ちていくだろう私の評判が惜しいのです。


後拾遺集は、白河天皇の命で藤原通俊(みちとし)が応徳3(1086)年に完成させた勅撰和歌集で、拾遺集から漏れた歌人の歌を約1200首収録しています。

作者の相模という女性も、結婚生活がうまくいかず悩みぬいた人であるらしく、この歌には実感がこめられています。悲しい歌ばかりではなく、非常に艶のある秀歌も数多く詠んでいる名人でもあります。百人一首の撰者・藤原定家は相模の恋歌が好きで、定家撰の歌集には彼女の歌が多く採用されています。



作者の解説

相模(さがみ、998?~1068?)

源頼光(よりみつ)の娘、もしくは養女と言われます。相模守の大江公資(きみより)の妻となり任国へ一緒に行ったので、相模と呼ばれるようになりました。歌論集「八雲御抄(やくもみしょう)」では赤染衛門、紫式部と並ぶ女流歌人として高く評価されています。しかし実生活では悩みが多く、公資と別れた後、権中納言藤原定頼(さだより)や源資道(すけみち)と恋愛しましたが上手くいきませんでした。一条天皇の第一皇女、脩子内(しゅうしない)親王の女房となり、歌人としての評価を固めました。




やよいからヒトコト

失恋によって、涙が溢れて乾かす暇もないほどに袖も濡れている、という点から、袖は涙で透けるようなイメージでシースルーにしました。悲しい歌なので、全体的に冷ややかな印象を持たせたく、「雪」のような白く冷たい空間に寝そべって沈み込むような意識で制作しています。

「椿」を描いた理由は、雪(冬)から連想して季節感を統一させたのと、椿は枯れるというより“そのままの姿で落ちる”ため、彼女自身に変化はなくても落ちて(枯れて)しまう、という点を重ねて考えました。


椿の花言葉ですが、赤い椿は「控えめな素晴らしさ」「気取らない優美さ」「謙虚な美徳」、白い椿は「完璧な美しさ」「申し分のない魅力」「至上の愛らしさ」という意味があるとされています。




デザインで今を変えたい。

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