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うたあわせプロジェクト vol.19 第58首 大弐三位【後拾遺集】

こんにちは、おもいびとの“やよい”です。

今回は身勝手な相手に、優雅に嫌みを伝える女性の歌です。


第58首 大弐三位(だいにのさんみ)999〜???【後拾遺集】


『有馬山 猪名の笹原 風吹けば いでそよ人を 忘れやはする』








歌の解説

有馬山の近くにある猪名(いな)にある、笹原に生える笹の葉がそよそよと音をたてる。まったく、そよ(そうよ、そうですよ)どうしてあなたのことを忘れたりするものですか。


詞書には「離れ離れ(かれがれ)なる男の「おぼつかなく」など言ひたりけるに詠める」とあります。しばらく来なかった男が、「不安です(あなたが心変わりしていないかと思って)」と手紙を寄越してきたので、「よくもそんなことが言えますこと」というような気持ちで返した歌というわけです。

全然音沙汰がなかったくせに、ずいぶんしてから、「あなたが心変わりしてないか心配でたまりません」なんて、身勝手な男の言いぐさですよね。そこを、現在の兵庫県にある有馬山近くの笹に風が吹く時、笹が「そよそよ」と音を立てるのに引っかけて、「そうよ、ほんとにそうなのよ。忘れているのはあなたの方じゃございませんこと?」と優雅な歌でちょっと嫌みを言ったのです。



作者の解説

大弐三位(だいにのさんみ。999~???)

紫式部の娘、藤原賢子(ふじわらのかたこ)。母の紫式部同様、一条天皇の中宮彰子に仕え、越後弁(えちごのべん)と呼ばれていた。16歳の時に母は他界、その後藤原兼隆の妻となった。後に後冷泉天皇の乳母となり、30代半ばに太宰大弐正三位・高階成章(たかしなのしげあきら)と結婚したので、大弐三位と呼ばれました。




やよいからヒトコト

背景は猪名の笹原をイメージしたカラーにしました。ラフ段階では表情が完成形と異なり、もっと明るい表情を予定していましたが、相手の男性に振り向いているという構図のため、少し複雑な表情に変更しました。身勝手な相手に対し、態度には出さずにわざと苦笑いしたような含みを持った表情を向けている、という意図で制作しました。

女の子を囲むような手を描いた理由は、相手の女性を手の内で転がそうとする男性の身勝手さを表現したかったためです。

ラフから清書にかけての表情の変化や制作の流れなど、ぜひタイムラプスにてご覧ください。




デザインで今を変えたい。

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