こんにちは、おもいびとの“やよい”です。
vol.21でご紹介するのは、死期が近づくなかで詠まれた切ない恋の歌です。
第56首 和泉式部(いずみしきぶ)生没年未詳【後拾遺集】
『あらざらむ この世のほかの 思ひ出に いまひとたびの 逢ふこともがな』

【歌の解説】
意味:もうすぐ私は死んでしまうでしょう。あの世へ持っていく思い出として、今もう一度だけお会いしたいものです。
後拾遺集の詞書には、「心地例ならずはべりけるころ、人のもとにつかはしける」とあります歌の通り、病気で死の床に就いている時に、心残りを歌に託して男のもとに贈ったということです。この歌には、さほどの技巧はこらされておらず、作者の心情をストレートに表現した歌といえます。病気で苦しむなか、恋する相手に思いを寄せているところから、“恋に生きた”とされる和泉式部の生き様が垣間見えるようです。
【作者の解説】
和泉式部(いずみのしきぶ)生没年未詳
1000年頃の人で、越前守大江雅致(おおえまさむね)の娘。最初の夫が和泉守・橘道貞(たちばなのみちさだ)だったので、和泉式部の名前で呼ばれるようになりました。このとき生んだ娘が、百人一首にも登場する小式部内侍です。
平安時代の代表的歌人で、自分の恋愛遍歴を記した「和泉式部日記」は時代を代表する日記文学です。
多くの人と恋愛をし、数多くの情熱的な歌を残しています。波乱の人生を送ったといわれています。
【やよいからヒトコト】
「もうすぐ亡くなってしまう」「あの世」というワードから、“人外(人ではないもの)”をテーマに描きました。この歌は、死が近い作者が愛する人に会いたいという切実な思いを抱えて必死に生きている、つまり「生」と「死」が同時に感じられる歌だと思います。
そこで、常に隣り合わせの「生」と「死」を太陰太極図の「陰」と「陽」と重ねて考え、シンメトリーを意識して描きました。
また、太陰太極図の白い白勾玉には黒円(=陽中陰)、黒勾玉の中には白円(=陰中陽)が描かれており、“陽の中にも陰があり、陰の中にも陽がある”ということを表しています。
これに習い、陰と陽を意識して反対色や補色を使って色付けしました。
デザインで今を変えたい。
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